これは、多くの人々が腕時計を楽しむためのNTAOストラップである。ふと立ち返れば、G10ストラップは軍需によって誕生した背景がある。つまり、万人の腕時計を彩るためではなく、過酷な状況で耐え抜くことを前提として供給されたものだった。しかし、今やファッション・アイテムとして市民権を得て、本来とは違う活路を見出したと思う。そこで、本製品がG10の廉価版かと言われれば、そうではない。確かに、尾錠やキーパーの形状、圧着加工などはG10に準ずるが、より日常生活に寄り添い、ファッショナブルな遊び心を宿したNTAOストラップとして、G10では提供できない魅力が備わっている。それは手に取った瞬間からも実感できるだろう。その＂しなやかさ＂や＂柔らかさ＂、＂肌触りの良さ＂には好感を抱く。もちろん、製品に＂安っぽさ＂や＂頼りなさ＂を感じさせるものでもない。コストパフォーマンスを重視するあまり何かを犠牲にしたような印象はなく、必要にして十分。G10にリスペクトを捧げつつ、多くの人々に気軽にNTAOストラップを楽しんでもらおうとする逸品なのである。
